【ソウル&ファンク】ナイル・ロジャースとゲーム音楽 ナイルが設立していたゲーム音楽会社

先日、WOWOWで放送していたナイル・ロジャースのドキュメント番組「魂のスタート・アゲイン」(2011年制作)を見ていたところ、ナイルが「HALO 3」の音楽を担当していたと言う事を知りました。

Halo 3のゲームは自分はプレイした事が無いんですが、当時、オブリビオンが大ヒットしていた頃と重なって、オブリビオンをプレイしながらそのゲームの名前はよく耳にする事になりました。

個人的には、ナイルの音楽性とゲーム音楽はなかなか結びつかなくて・・・。それに、Halo 3はとてもスペイシーな舞台の話しで、それだけにね。スペイシーなギター弾く人なら、音楽好きな人だったら、他に幾らでも浮かぶと思うし。

 

ナイル・ロジャースの音楽

 

ナイル・ロジャースと言うと最近再びよく名前を見掛けたりして、その大きなきっかけと言うのは、2013年のダフト・パンクの「Get Lucky」のギターに参加した事のように思います。Get Luckyはグラミーのレコード・オブ・ジ・イヤーまで取るほど大ヒットしました。

この動画で、透明のストラトキャスターでカットギターを刻んでるカッコイイ黒人のおっちゃんがナイルです。自分は子供の時からナイルのカットギターの超ファンで、自慢じゃないけど、Get Luckyをラジオで初めて聞いた時、すぐに「これはナイルのギターだ!」を言い当てたとほどです。
 
そして、今年の1月にデビッド・ボウイが亡くなり、デビッド・ボウイの最も有名なヒット曲と言う事から「Let’s Dance」が散々オンエアされる事になりました。このLet’s Danceのプロデューサーもナイルで、当時は多分、ナイルとグラム・ロック出身のデビッド・ボウイの組み合わせを不思議に思ったりした人も居たかもしれない・・・と予想します。

 
最近のナイルのワークスでは、こういうのもありました。DJキャシディと言うのは、オバマ大統領の就任式やビヨンセとJay Z(ジェイ・ザルゴじゃありませんw)との結婚式でDJを務めた人ですが、その彼の初シングルでカットギター弾いてたのも、ナイルでした。

この曲のメイキングでは、ナイルとDJキャシディの曲の打ち合わせ状況が見れます。

実はですね、このメイキングを全部見てもらうと分かる通り、この曲にはすごいミュージシャンが大勢参加してて、ドラムがジョン・ロビンソン(クインシーの仕事には欠かせなかった人)、アース・ウィンド&ファイアからバーデイン・ホワイト(bass)、ラリー・ダン(keyboard)、フィリップ・ベイリー(chorus&percussion)、80年代の音楽業界で最も忙しいと言われたホーン&アレンジャーのジェリー・ヘイとかね。アースの面子とナイルが仕事するとか、聞いただけで良い方向に鼻血が出そう。

これでわかるように、ダフトパンクにとってもDJキャシディにとっても、ナイルは超憧れの人であって、自分の音楽で彼のファンクなカットギターが使いたくて仕方なかったわけです。
 
個人的には、ナイル・ロジャースのお仕事と言うと、彼が率いるシックでのワークスをすぐに思い浮かべますが、その数あるヒット曲の中でも、この曲を聞いた時の衝撃は忘れないです。今聞いても、ズバ抜けてカッコいいと思うし。この世にこんなカットギターを弾くおっちゃんが居るんだ・・・と、自分にギターの可能性を教えてくれた人でもあります。

それでライブ見たら、生でマジでこのギターをプレイしちゃうし、自分にとってはロックと違う方向でのギターの神になりました。(ロックと違う方向でのもう一人のスーパーギターリストは、間違いなくジョージ・ベンソン)

 

ナイルが立ち上げたゲーム音楽会社とは?

 

ナイルを仕事を語るには、あまりにこれでは足りないような気がするものの、ナイルの業績について知ってる人は知ってると思うし、このまま話しを進めます。

こういうナイルが、ゲーム音楽をやるとか少し信じられなかったものの、しかし、単なるゲーム音楽をやってただけではなく、実は1998年にゲーム音楽会社の基礎となるものを既に立ち上げていました。

http://www.sumthing.com/
something.com

注意して欲しいのは、Something(サムシング)ではなく、Sumethingです。Sの後が、”o”ではなく”u”です。

このサイトに行くと、いきなり「ストリート・ファイター5」のサントラがあったり、その他にも、自分が知ってる所だと、「アサシン・クリード」のシリーズとか、そういうゲームの音楽がここから出ているようです。

この会社設立の経緯について、ナイル自身の公式サイトに書いてありました。

nilerodgers.com ”SUMTHING DISTRIBUTION & SUMTHING ELSE MUSICWORKS

1998年、ナイルは、多くの独立系のアーティストとレコード・レーベルの為の全国的な代理店や販路として、Sumthing Distributionを設立。会社は、多くの独立した革新的なプロジェクトを市場に浸透させるべき役割を誇っている。

sumthing Distributionの最初の成功例は、デヴィッド・リー・ロス(訳者注:ヴァン・ヘイレンのリードボーカル)のアルバム「スラム・ダンク」であり、続いて、アイヴァン・ネヴィル、ウリィー・クレイトン、デボラ・ギブソン、ストレンジフォーク、DJアイシーとシャンルは多岐に渡る。

マイクロソフト・スタジオがビデオゲームを立ち上げ、その音楽のパートナーを探している時、ナイルのアーティスト主体の新しい音楽のコンセプトと商品を中心とするSumthing は適切な選択をする事になった。

2002年の5月、Sumthingとマイクロソフトは、戦闘を進化させたHaloのサウンド・トラックをリリース。Haloは賞賛され優れた売上を記録、最終的に多くの後続のゲーム・サントラに門戸を開ける事になった。

(訳:管理人 Makoto)

これを読んでみると、Sumthingとは、最初はマイナーレーベルやアーティストを世に送り出す役割を担う会社であったものの、マイクロソフトがゲーム制作を展開しだして、その音楽パートナーになったと言う事のようです。

マイクロソフトは、2001年の11月(日本では2002年2月)にX-boxを世に送り出す事になり、ナイルの会社との提携開始は、年式的にそれと重なります。

これは個人的な視点に過ぎないかもしれないけど、ゲーム音楽と言うのは、すごいよく出来ているものが多いにも関わらず、「これ作ってるの誰?」とか言う殆どマイナーな人が作曲してる事も多いように思います。裏を返せば、そこまでゲームのサントラに金を掛けれない・・・と言う台所事情もあるようにも見えていて、映画のサントラのように有名どころに依頼すれば宣伝になるものの、しかし、そこから要求される金額とてバカにならない筈で・・・

TESシリーズのモロウィンド、オブリビオン、スカイリムの音楽を手がけて来たジェレミー・ソウルとて今は40歳になったとは言え、最初は19歳でスクウェアに入社と言う経歴を持っていて、TESシリーズのようなよくあんなクラシックをベースにしたような壮大な音楽を作れるな・・・と感心する事も多し。

HALOとモロウィンドが出たのは殆ど同じ頃で、その頃の大きな変化とは、ゲーム音楽の音質が格段に良くなった事で、昔はピコピコサウンドとさえ呼べる8ビットサウンドだった筈が、今はオーケストラでやっても遜色ないほどの音の音楽も多かったり、サントラに携わるアーティストのスキルも非常に問われている筈です。

余談的に、2014年、レッドブルミュージック・アカデミーにおいて、日本のゲーム音楽を支えて来た作曲家達の話しの特集があり(今はレッドブルミュージック・アカデミーでも見れなくなってる?)、特にFFシリーズの植松さんの話しは興味深いものでした。彼は、ファミコンの時代から最近の高音質のゲーム音までの変化を体験して来て、間違いなく音楽家としてのスキルも試されて来た筈です。この動画は、ニコ生の方では見れるようなので、興味がある人はどうぞ。

:moviefilm; 【ゲーム音楽ドキュメント】Diggin’ in the Carts エピソード5
 

そういう事を踏まえると、あまり資金も掛けれないけど、高いスキルが要求される今のゲーム音楽業界で、ナイルの立ち上げた会社のシステムと言うのは、有り難いものなのかもしれません。
要するに、ナイルの会社はあまりメジャーでは無い所から優秀なアーティストを探しだすと言う意図を含んでいて、それは、ゲーム制作の立場から見たニーズにも重なるように見えています。

しかし、実際、ナイル自身はそれほどゲーム音楽を直接作ってるわけではなく、プロデューサーだったりの方が多いようですが、一つ、Haloのサントラの中でナイルがやってる音楽を見つけました。

Nataraj & Nile Rodgers – Never Surrender (Halo 2 (Original Soundtrack) [HD]

カッコいいーー!!
ダフトパンクとの互換性がありすぎだろう・・・とか。これがゲームのどういう所で流れていたのか、それを確かめたくなります・・・
(知ってる人が居たら、教えて下さい)

ナイルの信奉者である自分は、ナイルがこういうカッコイイ事をやればやるほど嬉しくて仕方ないし、彼のsumthingと言う会社の意義を考えても、自分は今殆どメジャーレーベルの音楽を聞かないので(大した事ない音楽を不要にプロモーションで押し付けて来るから)、ナイルの考えている事については、間違いなく賛同できます。

今心配しているのは、ナイルの癌との闘病の事で、とにかく彼には元気に音楽活動を続けてほしいし、本当にそれを祈るばかりです。

 

ナイルの最近のSUMTHINGでのワークス

 

最後に、ナイルの公式サイトには、SUMTHINGの最新ワークスの動画がありまして、DJのニッキー・ロメロとの仕事。これがなかなかカッコいい。

Nicky Romero & Nile Rodgers – Future Funk (Official Music Video)

今年、グラミーのレコード・オブ・ジ・イヤーを獲得したアップタウン・ファンクが好きな人には大いにウケそうな曲で、最近、再びファンクブームっぽいのか?
その中心にいつもナイルに居てほしいし、今後もファンクギターを炸裂させてほしいし、ナイルの活躍と健康を祈ってます。

Makoto

TESはOblivionから。ESOには”Gills J”で参戦。 音楽geek(Soul,Funk& Jazz他)、中学2年の頃からプログレ・バンドで鍵盤系をやってました。ゲームは「英語がわかる」と言うだけで決して得意ではありません。既婚 強い分野: 音楽、Wordpress、車、ネットセキュリティ、誤字脱字

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