【ESO&Skyrim】マイクロソフトのクラウドゲームのベータ版がスタート その傘下企業となったベセスダ系のTES3~5、ESO、FOシリーズ、Fallout76がプレイ可能(日本はまだサポート外)
日本ではゴールデンウィークが始まって、しかし、未だコロナ渦の影響を受けて規制の多い状態で、今年のゴールデンウィークも家でおとなしくゲームを楽しんでいる人も多いかと思います。
今日はマイクロソフトとゼニマックスの話で、マイクロソフトは、4月21日にクラウドゲームのベータ・テストをスタートさせる事になりました。そのテストでプレイできるゲームの中には、去年9月の正式発表によりマイクロソフトによる買収が決まったゼニマックス傘下(ベセスダ)のスタジオの作品も当然のように多く並んでいます。
自分達が愛するTESシリーズやFOシリーズを作って来たベセスダ関係のスタジオは、コロナと言う世界共通の脅威の環境下で去年から今年の初めまで激動の1年を過ごして来る事になり、マイクロソフトによる買収だけではなく、今年の2月にはゼニマックス・メディアの創設者でありCEOであったロバート・A・アルトマン氏が亡くなると言う不幸さえありました。アルトマン氏はもしかしたら自分の死を既に予期していたのか、信用できる所に自分の愛する会社を託したいと言う事で、親友でもあったマイクロソフトのゲーム部門を率いるフィル・スペンサー氏にその会社が託されたと言う話もその時に聞く事になりました。
その後、やっと今年の3月9日、マイクロソフトがゼニマックスとその傘下のスタジオと会社全てを買収する全ての法的手続きが終了し、ゼニマックスとベセスダ関係の全企業とスタジオは正式にマイクロソフト傘下の企業となりました。そして、マイクロソフトのクラウドゲームサービスのスタート。今思えば当時は謎だった色々な事の辻褄が合って来たようにも見えています。
マイクロソフトのクラウドゲームのベータテストが始まる
それで、マイクロソフトでスタートしたクラウドゲームのベータテストについて、残念ながら日本はまだそのサポート外でそのクラウドゲームのベータテストに参加できません。実は日本語版のページはあるものの、クラウドゲームの対象国には現在含まれていない為、日本ではもう少しその対応を待つ事になりそうです。
クラウドゲームと言うのは、PCや家庭用ゲーム機と言うクライアントを必要としないシステムで、インターネット環境とディスプレイ、コントローラーさせあればゲームを楽しむ事が可能で、スマホでも利用可能です。既に大手IT企業間でこの開発競争が繰り広げられていて、将来的な大きな収益性と発展も期待され、現在、Google(Stadia)、ソニー(PS now)、Amazon(luna)、Softbank × Nvidia(Geforce now)がクラウドゲームサービスをスタートさせています。
ベセスダ関係のゲームの多くがマイクロソフトのクラウドゲームでプレイ可能
そして気になるのは、どんなゲームがマイクロソフトのクラウドゲームのベータテストでプレイ出来るのか? と言う事で、以下のリンクページで現在プレイできるゲームの一覧が見れます。
そのタイトル一覧の一番下、”Full list of Xbox Game Pass (xCloud) games (April 2021)”と言う項目の中に、TESシリーズとFOシリーズの幾つかの作品があり、オンラインゲームであるESOとFO76のタイトルまでがあります。
- The Elder Scrolls III: Morrowind
- The Elder Scrolls IV: Oblivion
- The Elder Scrolls V: Skyrim Special Edition
- The Elder Scrolls Online(オンラインゲーム)
- Fallout 4
- Fallout: New Vegas
- Fallout 76(オンラインゲーム)
その他にもDoomの5つのタイトルやRage2等、ベセスダが版権を持っているゲームタイトルが含まれていて、既に他のクラウドサービスでも幾つかのベセスダのゲームがプレイ出来たとしても、これだけのベセスダのタイトルがプレイ出来るのはもしかしたらその親会社になったマイクロソフトのクラウドゲームだけかもしれないし、こういう部分でもゼニマックス傘下スタジオが全てマイクロソフトの傘下になった事を感じたりもしました。
ESO(ファンも)がクラウドゲームに対応する為にどれだけの犠牲を払う事になったのか?
それで、ここまでは誰でも書ける事と思っているけども、今日、改めてこの記事を書きたくなった理由は、これから書く事にあります。
去年、マイクロソフトによるゼニマックスの買収話も表に出てない6月、GoogleのクラウドゲームサービスのStadiaでもESOがプレイ出来るようになりました。しかし、ESOがクラウドゲームに対応をする為に既存のPC版プレイヤーを巻き込み、それがどれだけのESOのゲームのパフォーマンスの悪化を引き起こしたのか、正に自分達はそれをリアルタイムで体験して来る事になりました。ファンの立場から言わせてもらえば、「大きな傷」を伴ったクラウドサービスへの対応だったとも言えるように思えてます。
クラウドゲームにはクライアントが無い為、その処理をサーバーに全て移した結果…
同じオンラインゲームであるFO76にはこういう問題があったかはわからないけども、クラウドゲームシステムと言うのはクライアントを持たないシステムで、それに対応する為にESOはクライアントにあったゲーム処理を全てをサーバーの方に移す必要がありました。
去年2月に行われたアップデート25でESOのプレイヤーは大した説明も無いまま全員がクライアント再DLを強いられる事になり、その時はPC側にあるシステムの容量は少なくなる…とかその程度の話しかありませんでした。しかし、それを行ったと途端に爆弾でも落とされたのように特に大規模集団戦PvPのシロディールでのパフォーマンスが超悪化する事になり、遅延と非同期の嵐。それから「パフォーマンスの修正」と銘打ち、何度もメンテナンスが行われ、それでも一向に良くならないシロディールのパフォーマンスの為、今度はテストと銘打ち、制限を加えたパフォーマンス・テストがプレイヤーを使ってライブサーバーで続く事になり、その後、幾つかの制限がシロディールに加わる事になりました。
(それでも未だにシロディールの一定条件下での酷いパフォーマンスは改善されてませんw)
それも当然と言うか、去年の2月に自分たちが再DLさせられたクライアントとは、ESOがクラウドゲームに対応する為の準備で、前述の通り、クラウドゲームと言うのはにクライアント(PC機器や家庭ゲーム機)を使わないシステムで、その為、今までクライアントで処理していたゲームの判定や処理を全てサーバー側に移す必要がありました。
しかし、今まで各プレイヤーのクライアントで処理されていたゲーム処理を一手に引き受ける事になったサーバーは、その大量のゲームデータ処理に追いつかずにゲームの特にエンドコンテンツ周辺で酷いラグを引き起こす事になり、それがシロディールで遅延が起こる原因と現在は見なされています。この件については去年の12月に纏めたので、興味がある人は読んでみて下さい。
だから、小手先で色々な技のエフェクトとか計算方式を変えてみたところで、クラウドゲーム対応の為にサーバーがその処理を全て担っている…と言う現実がある限り、現段階では、ESOのシロディールでのパフォーマンスとは少しは改善されても大きくは改善はされないものと思っています。しかし、これは50人対50人とか言う対人の大規模戦闘の環境下の話で、PvEでは多少おかしなパフォーマンスがたまに出る事があっても問題なくプレイ出来るので安心して下さい。
今年1月に行われたESOのグローバルイベントでは、今年の間にESOのサーバーが新しくなる事がZOSの代表のマット・フィラー氏から発表になったものの、その後、そうしたからと言って多くの人が期待しているような大きなパフォーマンスの改善にはすぐにはならないだろう…と話もありました。普通のクライアントがあるゲームに慣れ親しんで来た自分にとっては、オンラインゲームがクラウドゲームに移行する事がどれだけ大変な事なのかをゲームをプレイする側としてそれを体験し、学んだような1年でした。
ZOSが本当にクラウドゲームに対応したい理由はここにあった?
しかし、去年、ESOのパフォーマンス悪化にファンが振り回されている時、当然のようにマイクロソフトの買収話が進んでいるとかファンは知るよしもなくて、だからその時はGoogleのクラウドゲームサービスのStadiaに対応する為だけにZOSはクラウドゲーム対応を押し進めているようにも感じていました。
その後、GoogleがStadiaのクラウドゲーム・サービスを継続させるつもりがあるのか、それを疑いたくなるような記事も今年の2月に出る事になりました。
万が一、GoogleがStadiaのゲームサービスを止めてしまった場合、ゲームのパフォーマンスまで犠牲にしたESOのクラウドゲーム対応は完全にバカを見る筈で、間違いなくファンとしても複雑な思いがしたし、しかし、ここに来てZOSの親会社となったマイクロソフトがクラウドゲームサービスのベータテストを開始。
ZOSが大きな犠牲まで伴ってクラウドゲームに対応したかった理由とは、本当はここにあったんではないか?と信じ込みたくもなりました。当然のようにこれらのシステムの準備は簡単に出来るものでは無いし、年月が必要な筈で、その開発途中の互いが何かの利害の一致によって繋がった可能性もあるかもしれません。去年1年、ESOがクラウドゲームに対応する事によるパフォーマンスの酷い悪化と言う環境下でそれに付き合ってしまったPC版のファンにとっては、これが実りの無いもので終わって欲しくは無いし、これがZOSとその今や親会社になったマイクロソフトの両方に良い結果をもたらしてくれる事を祈りたいです。
ESOは新Macに対応しない事を決定、新Macのプレイヤーにはクラウドゲームでの継続を推奨
特にPC版のファンの場合、良いPC環境を持っている人も居るだけにそこからクラウドゲームに乗り換えてTESシリーズやESOをプレイしようとか言う人はあまり居ないと思うものの、既にESOにおいては新しいMacには対応しない事を決定していて、新しいMacにする予定のプレイヤーは、引き続き同じアカウントでクラウドゲームの方でプレイ出来る事を約束しています。
この時は、マイクロソフトのクラウドゲームの話はあまり表に出てない頃で(去年11月)、ZOSはStadiaで継続できる…としか書いていないけども、Macプレイヤーでマイクロソフトのサービスを使う人がどれだけ居るのかわからないものの、もしかしたらマイクロソフトのサービスでもアカウントを継続出来る可能性もあるかもしれません。
しかし、現在Stadiaも日本語には対応してないし、マイクロソフトのクラウドゲームもいつ日本に対応してくれるのか不明で、またESOに限れば日本語版はDMMの管理下にあって、ESOの日本語版がクラウドゲームでプレイできると言う事は難しいようにも現段階には思えています。
TESファンとしてクラウドゲームに期待するもの
また、現在のTESシリーズファンにクラウドゲームの恩恵があるとすれば、今回、マイクロソフトのクラウドゲームのテストでプレイ出来るゲームの中にはTES3のモロウィンドも含まれていて、これは実は自分もプレイしたかったもののSteamのDL版はWindows10でプレイできないと書いている人が当時は居て、こういうOSの問題も解決してくれる可能性があります。
しかし、TES3モロウィンドは日本語に対応してないから、日本語パッチを入れられないクラウドゲームでのプレイでは人を選ぶ可能性もあるし、TES4オブリビオンにおいてはコンソール版に日本語版があるし、それがそのままクラウドゲームでもプレイできる可能性もあります。こういうように、過去のTESシリーズやFOシリーズのストーリーをさらっと見てみたいと言う人にとっては、ゲームのダウンロードが必要ないクラウドゲームは有り難いものにもなりそうです。
同時に、SSDの残り容量とか気にしないで気楽にプレイ出来ると言う事もクラウドゲームの魅力の一つかもしれないし、PCゲームと言うのは、ゲームPCのハードの進化が早い為、それを気にせずに好きなゲームがプレイ出来る事も有り難い人も居るかもしれません。
しかし、クラウドゲームはクライアントが無いから、スカイリムのようにMODを入れて自分の独自の世界を構築したい人にはクラウドゲームは向いてないだろうし、MoDとかはクラウドゲームでは一切使う事が出来ません。一方でESOの場合はオンラインゲームで多くのプレイヤーが共存する為、PC版であってもプレイヤー間の公平性の為にMODのようなものはアドオンと言うUI周りを改善するものしか使えないし、アドオンが使えないコンソール版のプレイヤーが非常に多い為(コンソール用の日本語版は残念ながらありません)、PC版とコンソール版のプレイヤーの距離を少しでも縮める為、現在は積極的にゲームのデフォルトのUIの改善が進められています。これはクラウドゲームのプレイヤーも助ける事になると思っています。
もう一つのマイクロソフトの興味深い取り組み PCゲーム販売手数料を安くする
そして、もう一つマイクロソフトの面白い動きがあるようです。
このGigazineさんの記事によれば、SteamのPCゲームの販売手数料は30%で、マイクロソフトはマイクロソフトストアでのPCゲームの販売手数料を8月より12%にする予定だと言います。
この記事の中にはこう書かれています。
SteamはPCゲームの販売プラットフォームとして最大手ですが、ほとんどのゲームは売上が1000万ドルに届かないため、多くのゲームクリエイターが30%という割高な販売手数料に苦しめられており、一部からは販売手数料に対して「不公正だ」という声が上がり始めています。2021年4月にGame Developers Conferenceがゲーム開発者を対象に行った調査では、30%という販売手数料に正当性があると考えている開発者は「わずか3%」だったという結果が得られています。
正直に言ってしまえば「結構悪どい商売やってんだな…」とか思えたりもしたけどもw、これを見た時に思い出したのは、FO76が出た時、最初はSteamでは買えずにベセスダのストアで直接買うしか方法が無かった事です。それもこういう事が関係していのかな…とかつい想像してしまったし、今はベセスダはマイクロソフトの傘下にあるから、もしそこでゲームを販売すれば、手数料も親会社に入ると言う事で、親会社と子会社でwin-win の状態になる可能性もあります。
現在、コロナが未だ収束しない環境で、多くの人は家に居なくてはいけない状況も多くて、家で仕事をしたり何かを楽しむ人が増えた事により今も軒並みIT関係は増益の傾向で、そういう資金が今後ゲーム業界を含むIT企業をどう進化させるのか、非常に興味深かったりもします。
どうであれ、現在、ゼニマックス関係のゲーム会社はある意味で最強とも言える企業の一つの傘下となり、その環境下で今後も素晴らしいゲームを作り続ける事が出来る事をファンとして祈ってます。