最近、PCデスクの前ですぐ寝てたりするけど(そんだけ疲れてる? 多分w)自分のPCは当然オーディオに繋いであるし、これは殆どPC用。ゲームもこの音でやっている。
そして、もう一台、自分の部屋にはステレオがあって、最近はそこはSpotifyの音が垂れ流し状態になってる。
そしたら、椅子で爆睡していた筈の自分の気を引くような何かの曲が流れて来た。いや、正直に話すとその曲を聞きながら夢見ていた...と言うか、自分はこういう事がよくあるんだけどwww
音楽のリハーサル・スタジオの夢で、仲間がそこでプレイしていて(それがSpotifyから流れて来た曲)、そしたらドラムだけが色々な人に変わる。それで最後、既に亡くなった筈のドラマーになって、実はこの人が兄貴のドラムの師匠で親父の親友だったんだけど(自分達が最も音楽の影響を受けた人)、自分は「やっぱ◯◯さんの音は違うわ...」とか思ってるわけ。
そこではっと目が覚めて、そしたらSpotifyからジノ・ヴァネリの「Brother to Brother」が流れている。
当然、そのドラムは兄貴の師匠が叩いているものじゃないし、その音が兄貴の師匠に似てるかどうかだって自分にはわからないw 兄貴だったら少し聞き分ける事が出来るかもしれないけど。
そういうワケわからん夢を見てる自分の事を疑ったけど、しかし、すぐに現実に取り戻されて、久方ぶりに聞いたジノ・ヴァネリの「Brother to Brother」がどんだけすごい曲だったのか噛み締める事になった。
このジノ・ヴァネリの曲は当然リアルタイムで知ってるわけが無くて、何せ78年の録音。
しかし、「Brother to Brother」は同名のそのアルバムごと、ジノ・ヴァネリの最高傑作と言われていて、殊に音楽をやってる人はそれを超名盤と語る人も多い。
今、聞き返しても、やっぱりこの曲のドラムは凄い...自分が夢でドラマを仕立てちゃう位w すごいメジャーなドラマーと言うわけじゃないんだけど、マイク・クレイニーと言うドラマーで、調べてみると、バンドでパーカッションとかベースとかのリズム・セクションを担当してる人からやはり評価が高い。この演奏を「超絶」と書いてる人さえも居る。
自分は鍵盤の方だけど、先に書いた通り兄貴がドラムをやっていたせいで、すぐにドラムに耳が行っちゃう傾向がある。いつも兄貴から「このテクは...」とか、そういう能書きを聞かされて育って来たからねw
しかし、この「Brother to Brother」は、プロ好みの音ばっかりか?と言うとそうでも無くて、このアルバムからはビルボード4位の超名曲”I Just Wanna Stop”も生まれたし、今もこの曲を愛する人は多いし、70年代の有名ヒット曲の中の一つにも含まれている事も多い。
ジノについて、誰かがカナダ版”フレディ・マーキュリー”とか書いてて、個人的にそれにウケまくっちゃったけど、確かに名前からしてイタリア系に感じる色濃い顔だし、しかし、フレディを意識させるのはその色濃い容姿だけではなく、ジノ・ヴァネリも圧倒的な歌唱力を誇っていて、表現力も豊かで、声質も非常に美しい。
それに彼は音楽一家の環境で育ち、大学で「学問」としてちゃんと音楽を勉強して来て、ジノのこの頃のアルバムの殆どをその兄弟達がサポートしている。この「Brother to Brother」のアルバムも兄弟3人のセルフ・プロデュースで、アレンジも兄弟3人で仕上げている。
そして、このアルバムでもう一つ個人的に好きな曲があって、それがオープニングの”Appaloosa”
自分の場合、親がこのアルバムを既に持っていて、一体これを最初に聞いたのが何歳位の時だったのか殆ど記憶に無いんだけど、物心ついた頃、とにかくこのアルバムの"ギターがカッコいい!" 当時はその印象ばっかりがあるアルバムだった。
このギターは、知る人ぞ知るカルロス・リオスと言う人で、自分はこのアルバムが出たずっと後にこのアルバムを知ったし、だから、既にカルロス・リオスと言うギターリストは聞いた事がある人だった。80年台のかなり有名なアルバムにも彼のクレジットは結構あったように思う。
いつも彼を語る時「サウスポーのギターリスト」と言う代名詞が付いて、それが子供の時は妙にかっこよく思えた事があった。
それに驚く事に、このギター弾きまくりにさえ聞こえるジノ・ヴァネリの”Brother to Brother”がカルロス・リオスのプロとしての最初の仕事だった...と言う。このジノのアルバムでの”ギター弾きまくり”のお陰でレコーディングのオファーが沢山来て、80年台の名盤アルバムにも多数参加するきっかけになったと言う。
それで、カルロス・リオスの名前で検索してみると、Wikiepediaとかには英語版にも記述が無いんだけど、とにかくギターをやってる人の個人ブログばっかりヒットして、その殆どの人が”Brother to Brother”の名演を上げていて、そこから相当なインパクトを受けたと語っているのが印象的すぎる。
だから、ものすごい玄人好みのギターリストで、ネーム・ヴァリューとかにはとらわれず、その音だけで技術の高さやフィーリングの良さを判断できるような人だけが理解できる領域のギターリストにも思ったりする。
それで、現在、カルロス・リオスは何やってんだろ...とか思ってDiscogsを見ていたら、カルロス・リオスが参加した録音として興味をそそられるアルバムを発見した。
Quincy Jones – Live At Budokan(Discogs)
81年と言えば、クインシーの「The Dude(愛のコリーダ)」がリリースされた直後の筈で、この武道館ライブに来たミュージシャンは、そのまま「The Dude」のミュージシャンだったりするのが凄すぎるwww
Bass – Louis Johnson
Drums – John Robinson
Flugelhorn – Jerry Hey
Guitar, Harmonica– Toots Thielemans
Keyboards – Rod Temperton
Keyboards, Vocals – Greg Phillinganes
Lead Guitar – Carlos Rios
Producer, Conductor, Keyboards – Quincy Jones
Vocals – James Ingram, Jana Tyler, Patti Austin, Peggy Lipton Jones, Vivien Cherry
Horns – Nobuo Hara and His Sharps & Flats
80年代のクインシーの仕事を支えて来た超ミュージシャン達の集団で、カルロス・リオスと原信夫さんのホーンズとトゥーツの爺ちゃんを除けば、マイケル・ジャクソンの「オフ・ザ・ウォール」や「スリラー」の参加ミュージシャンそのまんま...とも言えるかもしれない。。
”原信夫とシャープ・アンド・フラッツ”がこのサポートに参加してる事も本当に素晴らし事で、原さんのビッグバンドは長らく日本のジャズ・ビッグバンドを牽引して来たと聞いている。80年代以前のクインシーの曲は、ソウル・ボサ・ノヴァとか、クインシー自身がビッグバンドのリーダーだったから、ビッグバンドの音無しでは語れない作品が多かった。
そして、ロッド・テンパートンまでが一緒に来日してるのも本当に驚き。
(← ざっとテンパートンが書いた曲を集めて来た)
ロッド・テンパートンは惜しくも2016年に亡くなったけど、自身もヒートウェイブと言うグループ率いてヒット曲を出した人だった。
しかし、それ以上にクインシー・ジョーンズの許でどれだけのヒット曲を書いたのか...ジョージ・ベンソンの「ギブ・ミー・ザ・ナイト」からブラザース・ジョンソンの「ストンプ」、マイケルの「スリラー」や「ロック・ウィズ・ユー」等々...まだまだ一杯有名な曲があるけど、時代の寵児のようなずば抜けたソングライターで、アレンジャーとしてもクインシーの片腕だった。
音楽に詳しい人だったら、この武道館でクインシーが後ろに従えていたミュージシャンがどれだけすごい人達なのかがわかると思うし、その中のカルロス・リオス。ジノ・ヴァネリとプロとして初めて仕事をしたのが78年だと言うなら、そこからたった3年で、これだけの大物ミュージシャン達と、それもクインシーの許で仕事をしている事が驚きだった。
そして気になるのは、このクインシーの武道館の音源だけど、日本のアマゾンではデジタル版は既に目ん玉が飛び出すほどのプレミアが付いていて(そりゃそうだよね...と言う感じ)、過去のライブ盤はこういう憂き目にあいやすい。こういう歴史に残るようなアーティストの名演の音源こそ後世に残さなくてはいけない...と思うけど、クラシックとかなら古い名演が幾らでも残っているのに、本当に口惜しくなる。
しかし、それでもこの音源が聞きたい! と言う事で音源を探してみたら、何人かの人がyoutubeにあげてくれていた。本当に心から感謝...。
最も音質が良いのは、ここに貼り出していいのか...リンクを貼っておくんでYouTubeで聞かせてもらって下さい。
これだけのミュージシャンが集まっておかしな演奏になるわけがなくて、期待どおりの音と言うか、クインシーは日本でもこんな素晴らしいライブをやってくれていたんだね...。今日の話の主人公とも言えるカルロス・リオスも素晴らしいギター・ソロを聞かせてくれているし。
(個人的にトゥーツ・シールマンが泣けちゃって、彼が亡くなった時も自分は追悼記事を書いた位、好きなミュージシャンの爺ちゃんだった...)
数年前もクインシー80歳のお祝いライブを日本でもやってくれたけど、しかし、クインシーも年とっちゃったし、”ミュージシャンがうんぬん...”と語る時代でもなくなって来て、それにクインシー同様、かつてのスーパーミュージシャン達だって既に高齢になってて、その人達が昔のような超絶スケジュールをこなせるわけでもない。
いや、81年のこの武道館ライブだって、当時、クインシーが引き連れていた人がどんだけすごい人達だったのか、その価値をちゃんと理解していた人はどんだけいたのか? ある意味で、月日が流れる事で、その間の彼らのワークスが彼らの価値を更に上げて来た...と思うし、時間が経ってみてわかる価値と言うものもある。
有名だったり伝説的だったりするミュージシャンの音を勉強しようと過去に遡らなくてはいけない事が本当に多くて、自分は今の時代の音をそっちのけで昔の曲ばっかり聞いてる傾向があるけど、今日の発見は実に自分には価値があるものだった。