F1はスパから連続週でイタリア・モンツァに飛び、モンツァと言えば、F1ファンなら誰でも知っている通りフェラーリのお膝元。いつもスタンドが跳ね馬ファン一色で埋め尽くされる開催としても有名だったりする。
自分達ホンダファンは、モンツァと言う超高速サーキットでホンダのPUがどれだけ活躍できるのかそれを楽しみにしてるけども、しかし、予選のQ1でフェルスタッペンが「ノーパワー」と言ってアタックを断念する事件があった。
フェルスタッペンはスペック4へのエンジン交換のペナルティにより、同じくエンジン交換したトロロッソのガスリーと共に後尾スタートがほぼ確定しているだけに、どのみち...みたいな諦め感が自分にもあったけど、それでも、ホンダのPUのトラブルは滅茶苦茶気になる。
#F1jp 第14戦イタリアGPの予選がすべて終了しました。
現地の田辺豊治Honda F1テクニカルディレクターからコメントが届きましたのでご紹介いたします。 #ホンダモースポ #PoweredByHonda pic.twitter.com/KHCPneYFhn— Honda 本田技研工業(株) (@HondaJP) September 7, 2019
これがホンダの田辺さんのコメントだけども、重要と思われる箇所を書き出してみると...
フェルスタッペン選手については予選Q1のアタック中、縁石に乗り上げた際、タイヤが激しく空転し、エンジンの回転が上がりプロテクションモードに入ったため、FIAのトルク監視システムが介入しました。その結果、走行中にパワーを落とす事になりました。
これはホンダのPUのせいではなくて、このFIAの介入システムは共通ECUの事か? 共通ECUは、今はマクラーレンのテクノロジーセンターが作ったものが使われている。
(だとしたら、これはマクラーレンの呪い......いや、これは聞かなかった事にして下さいw)
しかし、どうであれ、ホンダPUのスペック4のせいじゃなくて本当に良かった。
ところで、それよりも、今日、殆どのファンがポカーンとしたのは、ポール決定の走行になるであろうQ3の最後2分のタイムアタックでの事だった。
It was a crazy end to qualifying...#ItalianGP 🇮🇹 #F1 pic.twitter.com/tF93FfXT2c
— Formula 1 (@F1) September 7, 2019
F1公式Twitterも”クレイジー”と書いてるけども、トラックに出た全ての車が前の車のスリップを利用したい目論見で、団子状態でゆっくり走ったまま、どれかの車が飛び出して先頭を行くのを待っている状態になったりした。
モンツァは、F1では一周1分19秒位のコースの筈で、しかし、残り2分じゃノロノロ走っていればタイムアタックまでの時間的余裕は全くなかったにも拘らず、案の定、先頭を走っていたルクレールとサインツ以外全車は最初のアウトアップランのままチェッカーを受ける事になってしまった。
ポカーン...。
だから、ルクレールが2週続けてのポール。
QUALIFYING CLASSIFICATION*
*Stewards are investigating the climax to Q3#ItalianGP 🇮🇹 #F1 pic.twitter.com/kH58mbohwd
— Formula 1 (@F1) September 7, 2019
F1公式は、更にこのノロノロ運転の時の各チームラジオまで纏めてくれている。
(昔のFOMだったら、これが出来たかな?www)
That crazy end to qualifying...
The team radio edit 📻 #ItalianGP 🇮🇹 #F1 pic.twitter.com/cobiEhssmp
— Formula 1 (@F1) September 7, 2019
これが審議されてペナルティになる可能性さえ、ジョナサン・ノーブル記者が伝えている。
この記事によれば、その前に行われていたF3の予選でも同じような事が起きていて、F3では大渋滞の結果、危険を理由に予選は赤旗中断になり、30台中17台の車がスロー走行を理由にペナルティを課されたと言う。
FIAはF1ドライバー各位に、予選でのスロー走行がF3同様ペナルティの対象となる可能性を告げていた。そして予選終了後、Q3最終盤の一件が審議中であることを明らかにした。
F1の中でも最もハイパワーが必要な高速コースで、こんなノロノロの渋滞の予選を見せられるとは、ファンもがっかり...と言う感じだったかもしれない。
↓ 追記 その後の展開
それで、どうしてこんな事になったのか...これは自分の想像でしか無いけども、モンツァの明日の決勝が「雨」と予想されている事にも関係しているように思ったりもした。
雨のモンツァと言うのも珍しいけども、雨のレースでのオーバーテイクはリスクが付き物だし、モンツァは直線が多くてオーバーテイクが容易に思えるかもしれないけど、実はそうじゃない。オールドコースでトラック幅は狭いし、ドライのレースでもそれほどオーバーテイクが容易じゃないトラックと言われる事もある。
だから、雨のレースでましてそれがモンツァなら、どのドライバーも出来るだけ決勝で前に居たいのが普通。
そして、決勝が雨と予想されているなら、各車は少し多めにダウンフォースを積んで予選に挑んでいる可能性があって、予選後の各チームの車はパルクフェルメで管理される事になるから、車のセッティングを変える事が出来ない。だから予選がドライであっても、決勝の雨を見越したセッティングを予選にも持ち込まなくてはいけない。
スパの記事でも説明したけども、基本、モンツァはシーズン中最も薄いダウンフォースで走るトラックと言われていて、ダウンフォースを多く積むとドラッグ(空気抵抗)が増えて最高速が伸びない。しかし一方で、ダウンフォースを積むほど前のスリップストリームはより効果的になる。
こういう事が重なって、誰もが予選で積極的に前に行きたがらなかったし、どれかの車の後ろについてスリップを活用して少しでもタイムを縮めたい...と思ったんではないか? と思ったりした。
それを思うと、明日、後ろから行くフェルスタッペンとガスリーが心配だったりもする。
雨のモンツァと言って思い出すのは、トロロッソ時代のベッテルの優勝で、今から11年前の2008年の事だった。
ベッテルが幾ら天才的なドライバーだからと言って、この頃のトロロッソの車では雨の力を借りずにモンツァの優勝は間違いなく難しかっただろうし、モンツァのような高速トラックでも、雨が降ればそういう番狂わせも起こる事がある...と言う事を思い知らされたレースだったように記憶する。
この時、トロロッソの采配をとっていたのが、かつてセナのチームメイトとしてマクラーレンで走っていたり、フェラーリでも長らくドライバーをしていたゲルハルト・ベルガーで、このクラスのチームを当時の若き天才ベッテルと共に優勝に導いた...と言う事は非常に話題になったりした。
今日のモンツァの予選にもベルガーは来ていて、ベッテルの奇跡のモンツァ優勝を思い出したけども、こういう番狂わせもファンとしては見たい。今のトロロッソには、そういうチャンスがあるのか?
明日のレースを楽しみにしたい。