今日は真面目にESOに入って少し活動しないと…と思っていた矢先、Spotifyにはフォローしているアーティストの新譜を集めてくれる「My Release Rader」と言うプレイヤーがある。
そこに2015年のショパンコンクール2位だったCharles Richard-Hamelin(シャルル・リシャール=アムラン)の新譜が混じっていて、それを聞いた途端、自分の時が止まってしまった! (確かに自分の時計は頻繁に止まったりするけどもw)
ショパンコンクールで彼のピアノを聞いた時から、「これは…」とかその音色と表現力に取り憑かれた。ショパンコンクールのファイナリストに残る人なんて、当然のように全員が超絶的な技巧と表現力を持っているわけだけど、しかし、その中でも好き or 好きじゃない…と言うのは、聞く人の感性によるものだと思う。
2015年のショパンコンクール1位のチョ・ソンジンのピアノも素晴らしいんだけど、好きと言う意味では、この決勝で一人だけショパンのピアノ・コンツェルト第2番を弾いて2位だったシャルル・リシャール=アムランのピアノが遥かに好きだった。表現力もピアノの音の作り方も、個人的にはそれが素晴らしすぎて、見た目はオッサン(27歳だったらしい)みたいなんだけど、彼は非常に繊細な表現力を持っている。
同じくショパンコンクールで彼はソナタ賞も獲得しているけども、その名演奏。多分、ショパンコンクールの中でアムランの評価が最も高かった一曲。
ボキャブラリーが乏しい自分は「すげぇ」としか言えませんwww と言うか、自分より技術を持っている人に対して、ウンチクを垂れるのはいつも失礼だと思っている。
個人的な思い出として、ピアニストの事なんて殆どわかってないパートナーでさえ「すごいピアノ!!」とかムキになって見入っていたしwww 本当に素晴らしいピアノの音とはそういうものだと思っている。素人も玄人も惹き込む。
(パートナーは自分の影響で今はよくクラシックを聞くけど、本当のオーケストラのコンサートに連れて行ったら、その本物の音に圧倒されて、進んで自分からコンサートに行く位になった。一度は絶対にクラシックのコンサートに行く事を勧める。本物の生の音に触れたら、本当に世界が変わるから。)
アムランの話に戻るけど、しかし、ショパンコンクールのファイナルでは、アムランにとっては万全なものでもなかったらしい。青柳いずみこさんのサイトにはこう書かれていた。
ショパン・コンクールは、次のラウンドに進ませるかどうか各審査員が「Yes」「No」で判定する。第2次、第3次予選でただ一人「Yes」が満票だったアムランは、ファイナルでは一人だけ『ピアノ協奏曲第2番』を選んだことで結果的に第2位となった。
協奏曲も合わせものだから室内楽の要素がある。とりわけ2番はオーケストラとの親密なかけあいが要求されるが、ヤツェク・カスプシク指揮ワルシャワ・フィルハーモニーは準備が充分ではなく、アムランは音楽的な範囲でテンポを提示したりアインザッッを送るなど、副指揮者のような役割を担うことを余儀なくされた。アムランの繊細でしなやかなピアニズムは2番にぴったりで、第3楽章の哀愁ただようテーマ、民族舞踊の自在さなどすばらしかったが、全体にややソロのときの伸びやかさを欠いたようにも思った。
それでも、やっぱり2次も3次も満票だったんだ…とか、多くの審査員が彼のピアノを高く評価していた事を知って、彼のピアノに魅せられた自分も本当に嬉しくもなったりした。彼のピアノは本当に好きだ。
自分はルービンシュタインのピアノが好きで(ラフマノフのピアノ協奏曲第2番でさえ、フリッツ・ライナー指揮・シカゴ交響楽団との名演が一番好きだし)、このアムランも、ルービンシュタインを聞いてショパンを勉強した事があったと言う事で、個人的にはそれも「あっー!!!」みたいな感じだったwww
しかし、前にも少し書いた事があったけど、自分が最初に触れたショパンと言うのは、ショパンと同じポーランド出身のルービンシュタインのピアノではなくて、実はイギリスのジョン・オグドンと言うピアニストのものだった。彼は、チャイコフスキー・コンクールでアシュケナージと優勝を分け合った天才ピアニストだったけど52歳で早逝した。
オグドンを知っている人なら、彼のショパンとか信じられないかもしれないし、オグドンは特に超絶技巧のピアニストとして名高い人で、リスト、ラフマニノフ、ブゾーニの超難しい曲でさえ初見で弾きこなしたとか言う伝説もあるし、表現力より超絶技巧で押し切るようなピアニストと言われる事もある。
ショパンも当然のように技術が必要なんだけど、それと同時にデリケートな音の表現力を求められる事が殆どで、しかし、そういうオグドンのショパンを聞いて育つ事になった。
Spotifyにはオグドンのショパンは2曲しか無いんだけど…いや、もしかしたら彼のショパンを愛してるのは自分と一部の人だけじゃないのかもしれない。Spotifyの彼の最も聞かれている曲の3位と6位に、そのたった2曲しかないオグドンのショパンが入っている。
そしてオグドンのダイナミックなピアノは、ポロネーズの方が楽しめると思うけど、Youtubeを探したら自分が持っている同じ録音のものと思われるのがあった。
なぜかこのアルバムが子供の時から実家にあって、このピアノに魅せられて、4-5歳の時だったと思うけど、親にピアノを習いたいとひっくり返ってダダこねてピアノを習わせてもらったと親が言っている。
だから、このオグドンのショパンが無ければ、この音楽バカは育ってなかった筈で、クラシック・ピアノの話をしだすとどんな時もオグドンの名前が出て来てしまうんだけど、前、この名前を出してしまったのは、オグドンと同じくチャイコフスキーコンクールを、それも若干16歳で優勝した恐るべき天才ソコロフの話の時だったw
余計なところに話が行ってしまったけど、今日聞いたシャルル・リシャール=アムランの新譜の話。
一曲目は、ショパンの有名なバラード第1番だけど、ゲームに集中できない位、耳が完全にピアノの音の方に行ってしまっていた。こんな素晴らしいピアノをゲームしながら聞いていたらアーティストに失礼だ…とか、そんな事も考えながら、ゲームを出てきてしまったんだけど、アムランのピアノについて書かずにいられなくなってしまった。
ショパンコンクールは5年に一度しかないコンクールで、来年は再びその偉大なるコンクールが開催される年だと思うけど、今度はどんな才能が出て来るのかな…。
今日はそれからアムランのピアノを聞き続けているけど(いや、オグドンも聞いちゃったけど)、彼はショパンコンクールでは年齢高い方だったけど、それでもクラシック界では全然若い方で、これからも素晴らしいピアノを弾き続けてほしいし、ショパン以外の曲も沢山弾いてくれる事も楽しみにしている。