これはまだ手に届いてないけど、アマゾンで注文して明日か明後日位に来る事を期待。
ハーブ・アルパートと言うとラテン・トランペットの大御所でもあって、A&Mレコードの創設者と言う一面もあったり、カーペンターズもこの人との契約でA&Mデビューを果たした。
バークリー音楽院に奨学金を設けてミュージシャンの育成に努めたり、2007年にUCLAに多額の寄付してその音楽院に自らの名前を授けられる...とか(The UCLA Herb Alpert School of Music)、信じられないほど音楽に貢献してきた御仁。
そのハーブ・アルパートのアルバムの中で、どうしても一枚手に入らないのがあって...と言うか、兄貴はそのアルバムをドラムの師匠から譲り受けていて、自分はガキの時にそれを聞かせて貰っていたわけだけど、この曲のインパクトは半端なかった。
知ってる人が聞いたら、アラン・パーソンズ・プロジェクト(Luciferと比較すると良いか?)と一緒にやってんだろ...とか勘違いしそうな位のエレクトロなプログレ色が強い曲で、今聞いてもマジでカッコいい。
当時、ハーブ・アルパートはロバートブラウンと言うウィスキーのCMソングを通して日本で一世風靡していたそうで、ビヨンドもその一つで80年の作品。
しかし、このアルバムは一時デジタル化されたけど、その後、全く再販されず、その前の超名盤「Rise」なんかはどこでも手に入る状態なのに。
Discogsで知らべてみると、今までのビヨンドのCD化は日本のみで(これを聞いてもCMを通した日本での人気ぶりが想像できる)、去年、初めてアメリカでCD化されて、自分が買ったのはこのアメリカ版。
このハーブ・アルパートの80年前後の一連の作品と言うのは、出る⇒プレミアが付くと言う感じで、アメリカで去年の9月から11月にぞくっと発売されて、ファンを喜ばせているのがアマゾンでも分かる。
実は、自分はこのビヨンド以外は殆どハーブ・アルパートの作品のCDを持ってるけど、ビヨンドもやっとやっと注文できてマジで嬉しい。これは、前に紹介したオーリアンズのアルバムより長く探し続ける事になった個人的な超難関だった...w
ハーブ・アルパートについて
ハーブ・アルパートは今年82歳になるけど(マジで長生きして下さい)、彼について語り出すときりが無いほど、自分にとってはレジェンドな人。
60年代のこの彼の名曲は、オールナイトニッポンの長年の主題歌にもなってる。
https://youtu.be/ZesDEsgJKEM
これはハーブ・アルパートがティファナプラスと言うラテン色が強いバンドをやっていた曲の代表曲の一つで、60年代後半にはThis Guyとか多くの人にカヴァーされてる名曲もビルボードナンバー1にしていた。
しかし、彼の音楽の大きな転機は、個人的にはソロで出した79年の"Rise"だと思っている。
時はフュージョンと言う新しいジャズスタイルが確立して来た時代で、ハーブ・アルパートもその路線に入ったけど、このRiseはインストゥルメンタルでありながら、ビルボードナンバー1を獲得した。(ポール・モーリアの”恋は水色”もビルボード1位と聞いて驚いた事があったけどw 昔は色々な曲が1位になっててその多様性が面白かったり、素晴らしかったり)
当時を知ってる人に聞くと、この曲がビルボード1位になった時の驚きたるや相当なものだったらしく、新しい時代を幕開けの音を聞いたとも言っていた。その後、リトナーの”Is it you”とか、グローバー・ワシントンJrの”Just two of us”(しかしこの両方がボーカル入りだし、両方にリチャード・ティーが参加している事は個人的には特筆すること)とかビルボードトップ10に入る曲はフュージョン界から出たけど、Riseは間違いなくその先駆けだった。
余談だけど、79年のフュージョンの名曲と言うとクルセイダーズの「ストリート・ライフ」を思い出す。
https://youtu.be/-iVR7WLsvAg
Riseとストリート・ライフの両方が10分近いロング・バージョンがあったり、クルセイダーズの方はビルボードのポップチャートは36位で終わったけど(ジャズLPでは1位)、結構色々な部分(リズムとかキーは違うけどコードとか)共通点が見いだせて興味深い。ストリート・ライフはランディ・クロフォードの歌付き。
ハーブの話に戻るけど、その後、先に触れた通り、ハーブ・アルパートはロバート・ブラウンのCMを通して日本からすごい支持を受ける事になった。
特に個人的にはすごい好きな曲。
Riseの2枚後の「ファンダンゴ」の中の曲だけど、この曲は当時FM東京の番組の主題歌だったとも聞く。ハーブ・アルパートで一番好き曲...と言うと、自分と同じくこの爽やかな曲を真っ先にあげる人も多い。それまであったモダン・ジャズとかラテン・ペットとは少し違い、トランペットと言う楽器を今で言う”スムース・ジャズ”っぽい聞きやすいものに仕立てて来たハーブの功績は間違いなく大きい。
自分は以後のハーブ・アルパートの作品を聞き続けているけど、好きなのは91年の”North on South St.”で、クラブ色が強く、80年代後半から台頭して来たヒップホップやアシッド・ジャズの影響も感じる作品。
自分が鍵盤弾きと言う視点でどうしても曲を選ぶ傾向もあるけど、この”Passion Lady”はDJのミックスチューンに入れたら格好良さげ。
しかし、これだけ時代に対応した音作りをして来るハーブは天才だと思うし、だからと言って、ティファナプラス時代に築く事になったラテン・テイストと言うのはそのままで、トランペットと言う楽器の可能性を追求し続けた人でもあるように思う。
(ペットと言うと、モダンジャズから始まりやはり多方面で音を追い求めたマイルスと言う巨匠が居るけども、マイルスとハーブを同じテーブルの上で語る事は、両方に失礼な気がしてる...)
最後に。ハーブ・アルパートのアルバムと言うのは、他のフュージョンやジャズ界の人達とは少し違う傾向があるような気がして...と言うのは、80年前後のフュージョン系の作品は、有名なミュージシャン集めてその話題性で注目されたり売れたりする傾向もあったように思うけど、ハーブのアルバムを見る限り、そういう有名なミュージシャンと言うのはあまり入っていない。それも、彼の作品を聞く上で興味深いものになっている。