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坂本龍一先生が天国に旅立つ… Thank you for great music!!

少し遅くなってしまったけども、坂本龍一教授の訃報を聞いて、偲んでいる時間の方が長くなってしまいました。闘病されていたのは知っていたし、正直に今でも全然実感が湧いて来なくて、自分は子供の時からあまりにも多くの坂本教授の音楽に触れて来て、一体何を書いたらいいんだ…? とか。自分と先生は世代はかなり違うけど、育った地域はすごく近くて、同じ東京の景色を見ていたんじゃないか…とかどうでも良い事を。

まずはどうであれ、先生が天国でもずっと音楽と共にあって、いつもピアノを弾ける環境にあって、そこでもう病気の心配も社会の問題からも切り離されて穏やかな天国の毎日がある事を祈ってます。

あまりにも有名は「エナジー・フロー」の曲。この動画の景色はグレイに彩られていて、これを見ながら先生の魂は今どこを旅しているのか…とか、日本の仏教観では死後定められた場所へ49日掛けて人の魂は旅を続けると言う。そんな事を漠然と考えたりした。

70年代から80年代頃

本当に何を書いたらいんだろう… 物心ついた頃には自分の家には坂本教授のCD2枚とYMOのCDが一枚あった。親所有って言うやつ。

多くの人にとって教授はYMOをやっていた人とか、世界的な映画音楽やっていた人とか、色々なイメージがあるかもしれないけど、自分は親の持っていたアルバムのせいで個人的に最初に彼にもったイメージは「環境音楽(アンビエント)」音楽家で、日本のブライアン・イーノと言う感じだった。そして、子供の時には、それが「わけがわからない音楽」と感じたりもした(すみませんw)

しかし、自分が子供の時は既に坂本教授は超ビッグネームで「戦メリ」とか美しい名曲が作り出された後で、自分の親が持っていたアルバムは本当に教授の初期の頃のもので、坂本先生も若かりし時は、非常い実験的な音楽を演っていて色々な形で音楽に「挑戦」していた時代もあったように思えた。上で紹介した曲も「音楽図鑑」と言う1984年に出されたYMOで成功したすぐに後あたりに出されたアルバムに収録されていた曲だった。この頃先生は32歳。

それでYMOにも少し触れると、みんな最初に何の曲を思い浮かべるんだろう? 自分は絶対「東風」。

https://youtu.be/oZIuAXk8DRg

この曲はメロの部分もすごいんだけど、個人的にはこのイントロの教授の低音のシンセに幸宏さんのドラムが重なって入って来て、このイントロに完全にいつも飲み込まれるw それに、このメロディーって、マッドマックの「ドクター・ミンチに会いましょう」に影響を与えたよねwww エレクトロなアレンジに東洋風のメロディを載せると言うのは、今では珍しいものでは無いけれども、間違いなく先生が先駆けであった筈で、後の先生がアジアが舞台の映画音楽で大成功した事を考えるとオリジナリティの強い偉業と思えて来る。(若い時の先生、カッコいいよねw)

しかし、幸宏さんも今年の1月に亡くなられて… なんて言う事だ… と思っちゃうけど、本当に再び天国で仲良く音楽してくれることを祈ってます(合掌) 晴臣さんはお体を大事に2人の分長生きしてください。

YMO関係で話が脱線するけど、YMOの曲で「ビハインド・ザ・マスク」と言う曲があるけど、これも先生の曲で、実はこの曲をマイケル・ジャクソンがカバーして「スリラー」のアルバムに入れようとしたところ、しかし、マイケル側が版権の50%を求めて来た事に先生がそれに承諾せず、お蔵入りになってマイケルが亡くなってからその曲が紹介された…と言う逸話が残ってます。

それでこの曲のマイケル・バージョンを80年代半ばにグレッグ・フィリンゲインズがカバーしているんだけど、グレッグ・フィリンゲインズには許された理由は、多分、版権50%を求めなかった事もあるだろうし、実は彼はクインシー・ジョーンズの信用を一身に受けたキーボーディストで、クインシーはマイケルの3枚のアルバムをプロデュースしている。ファミリーだからマイケルもそれを承諾したと言う感じなのかな…。

だから、このグレッグ版はマイケルがバックコーラスで参加していたり、作曲は坂本教授でマイケルが作詞者として並んでいると言う"良い意味"で恐ろしい曲になってますwww マイケル・バージョンは彼の亡くなった後に聞く事ができるようになったけど、しかし、リズム・セクションだけシンセで作って歌を重ねているだけで(多分アレンジを煮詰めている段階)、だから、グレッグバージョンの方がずっと良い感じで、坂本先生のオリジナルにも忠実だったりします。話によれば、坂本教授はマイケルにOKしておけば良かった…とか言っていたと言う逸話もあるそうですw

また、1984年頃の「音楽図鑑」には、山下達郎さんが、それもギターで参加している曲があったりする。

この曲も少しポップで当時の坂本教授では少し珍しい気もしてるけど、インストの曲で達郎さんがギターだけで参加しているのももしかしたらもっとあるのかもしれないけど、なかなか気付きにくい気がする。山下達郎さんはギターも非常に素晴らしい方で、82年、当時多分日本にとっては先駆けすぎたと思える「Sparkle」でテレキャスターのとんでもオープニングギターを弾いている。当時、金がなくてギターリスト雇えなくて、仕方ないから自分で弾いたとか後談があるけど、達郎さんのラジオで坂本先生の話も聞けるかもしれないと期待しております(昨日演っちゃったかな…)

そして、もう一つ「音楽図鑑」の最初を飾っていた曲、「Tibetan Dance」。この曲、もろアジアンチックな曲で、今後の坂本先生の活躍さえ予感させたであろう曲。

この曲は、坂本先生のソロアルバムなんだけども、YMOのメンバーがサポートしていて、ドラムが幸宏さんでベースが細野晴臣さん、そしてゲストとして大村憲司さんがギターを演っているんですよー! 98年に早世されてしまった日本の天才ギターリストの1人で、非常に惜しまれた方だったと聞いてます。

この曲を実はEPOさんがカヴァーしていて(EPOさんは達郎さんのバックコーラス出身のアーティスト)、80年代、特にYMOの直後にはこういう先生の色々なミュージシャンとの交流も感じさせられる年だったと思います。

EPOさんのこの録音のミュージシャンのクレジットが確認できないんだけど、大村さんはEPOさんのアルバムでも結構ギターを弾いているので、そうだったらいいな…とか思っております。
 

ジョビンのスタジオで録られたと言うボサノバの「CASA」

このアルバムは知らない人も居るかもしれないけど、ボサノバを勉強した事もある自分にとってはとても大切なアルバムの一つで、坂本教授が2001年にボサノバの大家であるアントニオ・カルロス・ジョビン愛用のピアノとスタジオで録音したジョビンへのトリビュートアルバムです。

ボサノバと言うのは、ブラジルの音楽なのに、どういうワケか聞いているとフランスのカフェとか浮かんで来るのは、映画とかの影響なのかな…www ジョビンの曲は古い録音が多くて、だからこれだけキレイな録音で聞けるのが逆に慣れない感じで、本当に美しい録音です。それに選曲が渋すぎる。ある意味で、非常にメジャーなジョビンの曲を避けている感じすらして、「僕だけしか知らないジョビン」とかそんなこだわりすら感じるものです。

ジョビンと言うのも自分が本当に影響を受けた1人で、いつも話しているけど15歳の時に彼のピアノに出会って、音楽の世界の持つ奥行きがどんだけ深いのかそれを思い知らされたりしました。
 

「戦場のメリークリスマス」と映画音楽

通称「戦メリ」と呼ばれる大島渚監督の有名映画。言うまでもなく坂本先生の一番の代表曲と言ってもいいのがその主題歌の「戦場のメリークリスマス」。自分はこのピアノのバージョンが好きで、実は自分も弾けたりするんだけど、この前奏の美しさは際立っていて、個人的にはこの曲を弾く時、もっと神経を集中させるのがこの最初のこのイントロ。ここで何を語りかける事が出来るのか、その後に広がる世界がそれで決まってしまうような感じにも思えている。

先生のLiveバージョンの動画とかもあるんだけど、この「coda」の一曲目を飾るピアノバージョンこそ自分が最も多く聴いて来た「戦メリ」のピアノバージョンだった。この「Coda」が親が持っていた一枚で、この美しい曲については自分がとやかく言う事すら許されないような領域にあるように思えている。この曲を愛している100人が居るなら、100人の思いと思い浮かぶ景色がある筈で。それを一番尊重しなくてはいけない。

そして、次に先生の映画音楽と言えば「ラスト・エンペラー」が来ると思うし、ベルトリッチのアカデミー作品賞を獲った名画と共にその音学(アカデミー楽曲賞も受賞)ずっと残っている筈で。

これはメインテーマの部分に繋がるまでは長くて、1分55秒くらいから聴くと「ああ、このメロディ」と聞いた覚えがある人も居るかもしれません。

と言うか、日本では既にYMOの成功や戦メリの曲で坂本先生の名前は有名だったけども、この「ラスト・エンペラー」の大成功こそ世界に「坂本龍一」の名前を知らしめたものだった筈で、この両方が80年代、先生が30代半ばと言う年齢で成し遂げた大きな功績だった。

と言うか、坂本先生は東京芸大で作曲を学んで来て、大学院まで出ていて、勉強の基礎がそこらのミュージシャンや作曲家とは違うと言うか、その知識の土台があってこそこれらの壮大な曲が作れたといつも思う。

そして、もう一つ、日本での知名度はわからないけど、世界の人に評価されたのが、同じくベルトリッチ監督の「シェルタリング・スカイ」の主題歌の美しいピアノで、映画はなんとも言えない映画だったけども、本当に曲はキレイです。

実は自分は最も好きな映画音楽は何だ?と聞かれると、いつも「ラスト・タンゴ・イン・パリ」と答えるんだけど、実はこの映画もベルトリッチ監督の70年代の作品で、前にもこの映画について書いた事があるけど、映画自体はなんとも言えない性描写の多い、そしてショッキングなエンディングで、しかし、この曲が本当に美して、ベルトリッチ監督がイタリアの人のせいか、アメリカ人にはなかなか作れない光と陰がある。だから、坂本先生の音楽を必要としたといつも思う。

それ以外にも沢山の映画音楽を担当されていて、それはこのアルバムで聴く事ができます。特に美しい曲が集めてあります。

youtubeの場合はこちら。


 

その他にも沢山書きたい事があるんだけども、時間が無いので自分が作った坂本教授のプレイリストを置いておきます。先生の音楽と言うのはジャンルの幅が広くて、同時に有名な何曲かを除いて何を聞いたらいいの?と言う人も居るかもしれないし、好むタイプの曲も違うかもしれないけど、自分もピアノを愛している1人として、ピアノの曲とアンビエントな方向から曲を選んでおきました。(その後、曲を思い出したら追加しておきます)


 

教授の音楽の魅力を自分の視点で語れば、アメリカやイギリスの洋楽を聞いて育った自分からすると、絶対に彼らには真似できない光と陰や憂いが音楽にあふれていて、人の心と感情は絶えず揺れ動いて、一つ場所にとどまる事は無いし、その移ろいみたいな儚さを感じさせる音楽。切ないメロディだとすぐに自分は心を乗っ取られそうになってヤバイんだけど、今、先生がこの世に居ないと言う現実の中でそれに触れれば、また何か別の事を語りかけて来る。しかし、こんな時が来る事を想像して生きている人は殆どいない…。

それに、まだ自分は彼から学ぶべきものは沢山ある筈で、ありがとうございました、これからもよろしくお願いします…と見送るのは変なのかな。心から先生の冥福をお祈りします。

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About Makoto

TESシリーズ(Skyrim、ESO等)のファンサイトを運営。しかし、本性は音楽geek(soul,Funk& Jazz他)、中学2年の頃からプログレ・バンドで鍵盤系をやってました。Wordpressは2007年からの古参。 Home:  Rolling Sweet Roll

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