今日、SoundCloudに居て、思い出したようにアレサのリミックスを探してみたけど、面白い作品を2つほど見つけた。
これは3年前に発表されたリミックスのようで、このアレサの「ロック・ステディ」のオリジナルは71年に発表されて、ビルボードのR&Bチャートで2位になった名曲。アレサのパワフルな声を堪能する事が出来る。
ファンク大好きな自分にとっては、本当にカッコ良く聞こえる曲で、アレサのオリジナルはこちら。
71年の音源は、いかにも70年代のファンク&ソウルと言う感じで、そこからどうやってファンクやソウルが発展して行ったのか考えずにいられない非常に興味深い曲。しかし、自分のような昔の音を勉強してるような人以外は、多分、SoundCloudのリミックスの方が聞きやすいかもしれないし、カッコ良く聞こえるかもしれない。
実は、安室奈美恵氏も2008年に発表した同名の曲にアレサのこの曲をサンプリングとして使っている。
https://youtu.be/k5qLjw8I0pA
ところで、さっき各ミュージシャンのアレサの追悼のTwitterを読み返してみたところ、”アレサの曲は感動を与えると共に、どこに居ても教会に居るような気分にさせてくれる”(ローリング・ストーンズ公式Twitterの弁)とかあったw
日本人の場合、ゴスペルは教会音楽の一つの派生であるとは知っていても、それを聞いて、すぐには教会は思い浮かべないよね...www 日本人の場合は、どっちかって言うとパイプオルガンとかの荘厳な音楽を教会音楽として思い浮かべそう。
Very sad to hear the news about Aretha, she was so inspiring and wherever you were she always brought you to church. pic.twitter.com/GMCzQRkahc
— The Rolling Stones (@RollingStones) 2018年8月16日
アレサがゴスペル・シンガー出身であったことは知ってる人は多いと思うけど(何たって父親が牧師と言う環境)、アメリカやイギリスでは、普通の教会でどの位ゴスペルが普及してんだろうか?とか、マジで考えてしまったw
そして、もう一つ、これは個人的にかなり面白いリミックスに思った作品。
この原曲は、アレサの公式YouTubeにもある曲で、本当の題名は”A Deeper Love”。94年のビルボードのダンス・チャートでも2週1位を記録した曲。
この曲には更にオリジナルがあって、92年にこの曲を作ったRobert ClivillésとDavid Coleが、デボラ・クーパーをフューチャリングしてビルボードのダンスチャートで1位になっている。
オリジナルは、アレサのアレンジよりややラテン色が強いアレンジで、アレサの作品は当時の曲に多かったストレートな打ち込みに、教会を彷彿させるオルガンの音を更に前面に出して、多分意識的に”ゴスペル仕立て”にしているのが面白い(実際、動画にも教会が出て来るけど、これ、映画「天使にラブ・ソングを…」のウーピー・ゴールドバークだよねw)。
そして、今日、紹介してるリミックスの方は現代のエレクトロ音楽と合体と言う感じで、チルがかった美しい作品になってるのが興味深い。ゴスペルの色が消えているしw
このリミックスのDJは、ドイツ・ベルリンのエレクトロ系を得意とするDJだそうで、それを聞いて、このアレンジにも非常に納得した。何とも言えない憂いを含んだ陰影を持つような音を表現させたら、ドイツのプログレハウスとかを得意とするDJは素晴らしい人が多いよね。
もしアレサがもう少し長く生きて音楽活動を続けられていたなら、こういうアレンジにも挑戦したのかな...とか考える事にもなった。
余談:アレサが育ち、そして亡くなったデトロイトの街の現状
最近、アレサについて書かれた記事や文章を読む事が多かったけど(自分もアレサについてリアルタイムで知ってる時間は僅かだし)、アレサの人生を振り返ってみると、メンフィスで生まれてデトロイトで育って、デトロイトの自宅で亡くなった...とか、メンフィスもデトロイトも”ソウルの聖地”とも言われる場所。
その生まれた場所、育った場所、そして息を引き取った場所を考えてみても、本当に神様みたいな存在が居るとしたら、それがソウルを歌う為にアレサをそこに遣わせた...とさえ思えて来る。
デトロイトと言うと、ソウルの聖地やアメリカの自動車産業を支えた街...と思っていたけど、2013年に自治体として財政破綻して(個人的には、アメリカの自治体が財政破綻するとか当時は信じられなかった)、その後、ゴーストタウンみたいになってるとか、更なる治安の悪化とか、悪いニュースしか聞かなかった。
それで、アレサがデトロイトの自宅で亡くなった...と聞いて、今のデトロイトはどんな状態なんだろ?とか気になったけど、その現在の状況はこちらの記事で読む事が出来た。
破産を乗り越えて「再生」へ向かう都市、デトロイトの現在──新たな文化の誕生と、立ちはだかる課題(wired)
破産申請がゴーサインになったかのように、多くの投資資金が流れ込み、ダウンタウンのオフィス占有率は90パーセント台まで回復した。高級化が進み、生活コストが上がって暮らしづらくなったニューヨークやカリフォルニアから、アーティストが、そして労働人口が流入している。
(略)
いま、かつて自動車業界の繁栄の象徴だったダウンタウンを歩きまわってみると、好景気、という言葉が浮かぶ。街のいたるところで建設が進み、オフィスビルには活発に人が出入りしている。市が破産申請の手続きをしてから、デトロイト出身のビジネスマンでローン会社クイッケン・ローンズの創業者でもあるダン・ギルバートが中心となって、労働コストや家賃の安さを売りにスタートアップやエンターテインメントを誘致してきた結果である。
アレサは多分、自分を育んだ街の復興を見守りながら逝ったんだな...と思ったら、なんか少し気分が軽くなった。(アレサは自分の親戚でも無いのに変な心配だよねw)