師走で毎日忙しい人も多いかと思いますが、先日、来年のESOの新章の舞台が「スカイリム」とわかって、それに色々と思うファンも多いと思っている。再び雪の大地で何を思うのか?
ところで、個人的に非常に好きなジャズ/フュージョン界のピアニストであるブライアン・カルバートソンが今年の終わりに発表した「Winter Stories」と言うアルバム。既に10月からネット系では配信されていたけど、12月13日にこのCDが発売された。
TESのスカイリムのファンにも勧めたいような美しいアルバム。
カルバートソンは、スムースジャズのピアニストと語る人が殆どで、このアルバムもややジャズ色の強い曲が幾つかあるものの、このアルバムに関してはスムースジャズと言うより更にニューエイジ色が強い作りで、彼の公式動画の曲を聞いても、TESのファンなら思わずスカイリムの澄んだ空気を思い出してもおかしくはないような透明感を感じる。
個人的にカルバートソンと言うと、自分と同じローランドのピアノやキーボードを愛用する人とか、スムースジャズの人気を固めたと言っても過言ではない伝説的なGRPレコードの出身者と言うイメージがある。殊に彼のローランドで作り上げる独特の美しいピアノの音色は、いつも非常に透明感があって、そして洗練されて都会的な音。どの曲を聞いても聴きやすくてクセが殆どない。
殊に、自分にとって彼がGRPの出身である事は大きな意味を持っていて、GRPレコードと言うのは、自分が最も尊敬するジャズ・ピアニスト、コンポーサー&作曲家であるデイブ・グルーシンがラリー・ローゼンと70年に立ち上げたジャズ・レーベルの1つで、殊に80年台から90年台には超大物ジャズアーティストが軒並みここに所属し(本当に錚々たるミュージシャン)、美しい曲を発表しつづけた事は、ジャズ音楽界への大きな貢献だった。自分もこのレーベルのアルバムをどれだけ持っているかわからない位で、最も自分の音楽性に影響を与えたであろうレーベルの1つでもあった。
そういう中で、カルバートソンと言うのは、個人名でアルバムを売る事が出来るGRP後期のピアノの大物みたいな感じで(ミュージシャンと言うのは、個人名でアルバムを売る事よりセッション参加の方が遥かに多い事が殆ど)、ある意味で、GRPの創設者の一人であるデイブ・グルーシンの大きな影響さえ感じたりもする。
個人的には、カルバートソンのアルバムと言うと殆ど「ハズレがない」と言う抜群の信用度で、今日紹介している"Winter Stories"も安心してゆったりした気分で楽しめる。日常の作業BGMやリラックスした時間にも非常に向いている。
カルバートソンの多面性 シカゴソウルからの大きな影響
カルバートソンは、イリノイ州の出身で、その州で一番大きな都市と言えば、ソウルの聖地の1つであるシカゴ。シカゴ出身の偉大なるソウルアーティストは数多に居て、EW&Fのモーリス・ホワイト、モーリスが初期に一緒に活動していたラムゼイ・ルイス(超伝説的はジャズ・ピアニスト)、カーティス・メイフィールド、チャカ・カーン、ダニー・ハサウェイ…等々。アルバートソンはこういうシカゴソウルの面々に非常に大きな影響を受けていて、2008年には「Bringing Back the Funk」と言う非常にファンク色が強いアルバムも作っている。
実は、このアルバムのエグゼクティブ・プロデューサーは、EW&Fのモーリス・ホワイト。自分にとっては音楽神の一人だけども、自分も非常にジャズとファンクの両方に大きな影響を受けた一人で、そういう部分もカルバートソンとは色々と嗜好が合う傾向はあるのかもしれない。
2017年には、もろに「Funk!」と表されたアルバムをカルバートソンは発表するけども、これがメチャクチャかっこいい。
特にラムゼイ・ルイスが好きだったり、また70年の頃のEW&Fのホーンの使い方が好きだった人にはたまらない作品と思うし、彼がどれだけシカゴソウルから影響を受けて来たのかがわかる作りになっている。
個人的には彼のアルバムで好きだったのは、どこかで紹介したような記憶もあるけども、2014年の「Another Long Night Out」
これは20歳位の時のカルバートソンのデビューアルバムの再録で、各曲に豪華なゲストミュージシャンがフューチャリングされている。
そのアーティストの中には、GRPで活躍したアーティストも多い。オープニングでは、リー・リトナー、6曲目では同じくギターリストのラス・フリーマンだったり(彼はリッピングトーンズを率いてGRPの人気を支えた一人でもあると思っている)、あとはチック・コリアのバンドで活躍したサックスのエリック・マリエンサル。この中で特筆するべきは、5曲目でTOTOのスティーブ・ルカサーがフューチャリングされている事で、カルバートソンの透明感溢れる世界観を維持しつつ壮大なプログレの曲さえ感じさせる作りになっている。
この中で一番好きなのは、10曲目のオランダ出身の女性サックス奏者キャンディ・ダルファーをフューチャリングした曲で、これはリズムの作りからメチャクチャかっこいい。なんかこのダルファーの音を聞いていると、デビッド・サンボーンの音さえ思い出してしまう。このパワーのあるサックスの音が女性だと言うんだから驚いてしまうし、彼女は本当にカッコイイ。
ミュージシャンの話になると、自分の場合は余計な話が多すぎて話の収集がつかなくなるんだけど(このジャンルこそが自分が最も得意としてものだしw)、適当なところで話を切り上げたいと思う。カルバートソンの音楽は本当にいつも素晴らしいんで、是非楽しんでもらいたいと思っております。