コロナで外にも行けない毎日が続いているけども、それでも個人的には音楽と切り離されるわけじゃないから、更なる音楽三昧の毎日が続いてる。
それで自分はいつも好きな音楽のジャンルは「ソウル・ファンク・ジャズ」と言っているけど、しかし、プロフィールにも書いてある通り、中学の頃からバンド活動していた事もあって、そのバンドがロック系のバンドだったから、ロックをかなり聞いていた時代もあった。
自分の兄貴は一足先にバンドでドラムもやっていて、その頃既にセミプロだった。その兄貴が最も敬愛していたドラマーの一人と言うのが、TOTOの故ジェフ・ポーカロで、当時、兄貴の部屋からTOTOの音が聞こえて来るのは日常だった。自分もその影響をすごい受ける事になったし、気が付いたら自分までがそういうバンドに入っていたし、自分の音楽活動のスタートを語る時、TOTOを外して語る事が出来ないくらいに思える事がある。
そして、兄貴も自分もTOTOに惹かれた理由と言うのは、彼らが単なるロックバンドと言うだけではなく、メンバー一人一人がアメリカ屈指レベルの優れたセッションマンで、80年代の初期から様々な他のアーティストの作品の中にその名前を見る事が出来ると言う事にある。
その中でもドラムのジェフ・ポーカロとギターのスティーブ・ルカサーの別格の存在で、好きなギターリストとして自分は色々な人の名前をあげるけど、ある意味で自分にとって本当の意味でのギターヒーローはルカサー(普段はルークを呼んでるけど)に他ならないと思う事がある。もっと他の高齢の伝説的ギターリストよりも身近でリアルタイムヒーローでもあるしね。
ドラムのジェフ・ポーカロは、一部の人にとっては神格化までしているドラマーの一人で、ハーフタイムシャッフルと言う新しい奏法を見出した人でもあって(この奏法はジェフの遺産とさえ言われる)、しかし、彼は38歳(92年)と言う若さでこの世を去っている。
このハーフタイム・シャッフルは、一番有名な所ではグラミーまで獲得した自身のバンドTOTOの「ロザーナ」、アル・ジャロウの「モーニン」なんかで聞くことが出来る。
これはロザーナの古いPVだけど、リードボーカルの一部はギターのスティーブ・ルカサーで、今はルークは嗄れ声になっちゃったけどw このキーボードには高1の時に挑戦する事になったけど、耳コピだけでは当時はキツくてスコア(譜面)まで必要になった覚えがある。ジャズ・テイストのピアノはTOTOのもう一人の重要メンバーであるデヴィッド・ペイチ。
ジャロウのモーニンについては、アル・ジャロウの追悼記事にも書いてあるんで、それに参照にして下さい。
それ以外にも、ジェフが参加したセッションレコーディングと言うのは本当に驚くべきもので、有名なボズ・スキャッグスの「ロウダウン」やラリー・カールトンの「ルーム335」、ミュージシャンの選別にメチャクチャうるさいと言う伝説があるスティーリー・ダン、あまりに有名なレコーディングが多くて、たった38年の人生であっても、どれだけのレコーディングセッションに参加したのか、その作品を殆ど集めようと思ってめげた過去が自分にはあるw
これは既にスタンダード化していると言っても過言ではないボズ・スキャッグスのNo1ヒットの「ロウダウン」だけど、イントロからジェフのドラムだし、ジェフのドラムを外して語れないくらいの名曲だったりする。この曲のリリースは76年と言う事だから、ジェフは当時若干22歳の筈で、この若さでレコーディングスタジオから引っ張りだこだったと言う。こんな天才は今は探したくても探せないように思う事さえある。
それで、このロウダウンのクレジットにも、TOTOののデビュー当時のメンバーが3人含まれていて、曲はボズとTOTOのもう一人の主要メンバーであるデヴィッド・ペイチの共作。ルカサーだけはここに居ないけど、初代ベーシストだったデビッド・ハンゲイトの名前がある。
と言うか、自分はミュージシャンの人達から聞いた話だと、TOTOと言うのは、ボズ・スキャッグスのバッグバンドから出て来たと言う人も居て、10代後半頃からスタジオでセッション・ミュージシャンとやって来た彼らは意気投合してTOTOと言うバンドを結成したと言う。
自分達からすれば、TOTOと言うのはロック・バンドなんだけど、一人一人が傑出したミュージシャン達の集団で、その技術の高さもあって、他のロック・バンドと同じテーブルでは語れないようなバンドにも思える事がある。TOTOと言うバンドは、当時SONYとの契約上バンドとしてのアルバムは出すけど、彼らの当時のメインワークはスタジオ・ミュージシャンであって、TOTOのアルバムではあまり良い仕事をしてない…と語るファンさえ居る。
実際、ルーク(スティーブ・ルカサー)自身も、SONYとの契約で「仕方ないから録音している、出しゃいいんだろ、みたいな時もあった」とどこかで語っていたような気がする。
彼らがどれだけのスタジオ・ミュージシャンぶりだったかと言えば…
世界で最も売れたと言われているマイケル・ジャクソンのアルバム「スリラー」。この中の有名な「ヒューマン・ネイチャー」は、ジェフ・ポーカロの弟でもありTOTOにも時折参加する(初期メンバーだし、最近はまたTOTOに戻って来ている)スティーブ・ポーカロが作曲していて、ジェフ、ルーク、デヴィッド、ハンゲイト、スティーブと言う当時の全てのTOTOのメンバーがバックバンドを務めている。
だから、TOTOと言うのはバンドとしても有名だけど、80年代の黄金期のアメリカ音楽をミュージシャンの側面として支えて来た超集団でもあって、こういう意味からもTOTOを支持するファンも多い。
これはアース・ウィンド・ファイアーの80年の「Faces」と言うアルバムの一曲だけど、ここでイントロからルカサーがギターを弾きまくっている(当時ルカサーは23歳w)、当時、既にアース・ウィンド・ファイアーは超人気のソウルバンドで、よくこの時代にモーリスはルカサーをフューチャリングする事を考えたな…と感心したりもする。
こういう事を別の側面から見ると、80年代の音楽と言うのは色々な融合があって、この曲で言えば、ロックとソウルの融合とも言えるし、また白人音楽と黒人音楽の融合とも言える。クインシー・ジョーンズやアース・ウィンド・ファイアーのモーリス・ホワイトは、良い音楽を作る為ならそういう垣根を全て飛び越えようとしたし、彼らに協力したTOTOのメンバー達もそうだったと思うし、この時代の音楽は色々な事を自分達に教えてくれる。
だから、TOTOと言うバンドを語る時「ロック」と言う枠だけでは語れない部分もあって、彼らは他のミュージシャンとのセッションやレコーディングで一体どれだけのものを吸収して来たのか、それはTOTOの多様性も作りあげているように思う事がある。
個人的には、TOTOのバンド活動より、そのメンバーがミュージシャンとしてどんな仕事をしていたのか?と言う方が実は詳しかったりするんだけど、TOTOの有名な楽曲と言うのはSpotifyの一番よく聞かれている曲ベスト10のプレイヤーで聞いてみて下さい。
SpptifyのTOTOのリスナーの数を見ると1000万を越えていて、まだまだ彼らが多くのファンに支えられている事に嬉しくなったりもする。
そして、これが自分が作って来たプレイリストだけど…
自分は普通の曲じゃなかなか満足しないような部分があるんだけど、本当の事を言っちゃうとTOTOのヒット曲とかあんまり興味が無くて、ロック・バンドと言うのは昔からシングルで勝負するものではなくて、アルバムの売上とコンサートの観客動員数で勝負するもの…と思う部分もある。
そういうTOTO…当時の事は聞いた事でしか知らないけど、多分80年代は他のアーティストのレコーディングでスタジオを飛び回っていてツアーとかゆっくり行っている余裕もなかった可能性もあって、逆にシンセ多様の音楽が増えてミュージシャンの需要が減った2000年以降とかの方が、世界をツアーして歩けるようになったようにさえ思う事がある。
しかし、実際、TOTOのメンバーの音楽の技術はレコーディング・スタジオに閉じ込めておくには勿体ない位のもので、そう言えば、TOTOの代表曲の1つである「99」は、当時彼らはスタジオ・ミュージシャンとしての仕事が忙し過ぎてレコーディングの時間も取れなくてボーカル以外は全員集めてワンテイクで録られたと言う伝説さえある。
この「99」は、TOTOの2枚目のアルバムの「ハイドラ」からの曲で特に日本で人気があったと言われているけど(CMに使われていたと話も聞いように思う)、これをワンテイクで済ませてしまった彼らの技術力をよく物語っている曲にも思う。
彼らのLiveは音源としてもビデオでも触れる事が出来るけど、最近の中で個人的に特にクオリティが高いと思われるのが、結成35周年のアニバーサリーのもの。2014年に出ている。
TOTO 35周年アニヴァーサリー・ツアー〜ライヴ・イン・ポーランド 2013(Amazon)
自分はこれを最初WOWOWで見ちゃったけど、やっぱりTOTOの面々は上手いわーと言う感じで、既にジェフを失っているTOTOは、その後、これまた伝説的なドラマーと言えるサイモン・フィリップスを迎えていて、TOTOの後期ベースを担当していたジェフの弟のマイク・ポーカロが筋萎縮性側索硬化症で活動できなくなり、このLiveではジャズ系のスーパーベーシストのネイザン・イーストが務めている。(その後、マイクはこのLiveの翌年に亡くなる事になった。合掌)
そしてこのLiveのリードヴォーカルは、TOTOと言うとボビー・キンボールを思い浮かべる人も居るかもしれないけど、TOTOの中期からバンドを支えて来たジョセフ・ウィリアムズで、彼は個人よりもその父親があまりにも有名すぎて、あの超有名なスターウォーズのテーマとかジョーズのテーマを作曲した大作曲家で、最近ではハリー・ポッターの映画音楽も担当していた。
(しかし、TOTOは主要メンバーの全員がリードボーカルを務める事ができる。)
だから、確かにジェフやマイクが居ないTOTOではあるんだけど、素晴らしいミュージシャン達のその後のバックアップもあって、トップアーティストと呼ばれるプロの演奏と言うものはこういうものだ…と言うクオリティを見せつけてくれる。
このLiveの後、サイモン・フィリップスもTOTOでの活動を止めた事を思えば、彼のTOTOでの最後の演奏とも言えるLiveにもなっている。
それでTOTOと言うバンドは、デビュー当時は、「アメリカン・プログレ・ハード」にも分類されるバンドで、特にデビュー後の2枚目の「ハイドラ」はその強い特色を持っていたり、最近のアルバムもロック色が強くなって来たように思うけど、この35周年のLiveもプログレ色が強い選曲にもなっているように思う。
(このLiveの映像をYouTubeからお借りして来た。メンバーがみんなオッサンになりすぎてて嫌にもなって来るけど、音楽は容姿じゃない!w 本当に上手いから。ルークのギターはいつも最高すぎる)
それで自分がTOTOの曲の中で一番好きな曲は? と聞かれた時、結構迷いなく答えるのが2枚目のアルバム「ハイドラ」に含まれている「White Sisiter」と言う曲。上の動画で1時間16分あたりの「Do you love me~」とジョゼフの声から入るプログレタイプの曲で、特に学生の時にこの曲が大好きすぎて、好きな理由とか自分でもわからないんだけど、やっぱり個人的にはTOTOでもプログレ風の曲に惹かれる傾向がある。
TOTOの事を書いているとキリが無くなるから、これくらいで止めるけど、暫くサイドバーにTOTOの自分が作ったプレイリストを貼っておきます。