この間、アル・ジャロウの追悼を書いたばかりで、今度はジャズやフュージョンのギターリストとして名高いラリー・コリエル氏が亡くなったと聞く事になった...。
Legendary jazz guitarist Larry Coryell, "Godfather of Fusion," dies at 73 https://t.co/a3N1tio0us
— billboard (@billboard) February 21, 2017
心よりご冥福をお祈りします。
フュージョンやジャズを好んで聞いて来たと言っても、ラリー・コリエルについては、個人的には名前だけはよく聞いていたものの、アルバムを聞くと言う意味でなかなか接点が持てなかったギターリストだった。そういう少ない知識の中で、自分が知ってる僅かなコリエルのギターの名演について書いておきます。
このFuse Oneのアルバムは1980年に出されたスーパーミュージシャンが集まって作り上げたもので、ラリー・コリエルの名前を知ってる音通の人なら、殆どが覚えているような気がする。
自分の場合は、ずっと後になってこのアルバムを知る事になったけど、この2曲目のウォーターサイドを聞いた時の驚きと言うのは、相当なものだった。
この原曲と言うのは、実は、クラシックの名曲として名高いスメタナの「モルダウ」で、それをジェレミー・ウォール(スパイロジャイラ)がボサ風にアレンジしたもの。この曲のオープニングで、ストリングスに合わせて力強いアコースティック・ギターのコードを弾いたり、途中のギター・ソロを一人で担っているのが、ラリー・コリエル。本当に素晴らしい。
この曲にはすごい思い出があって、中学の時の音楽の授業でスメタナのモルダウの音楽鑑賞があって、武蔵野音大出の音楽の先生の所に生意気にもこの曲を持って行った事があった(音源は兄貴が持っていたアルバム)。先生と一緒にこの曲を聞いて「なんかすごいでしょ」とか、自分が演ってるわけでも無いのに、自慢してた記憶があるw
このウォーターサイドの音源が見つからなくて、多分、こういう音楽の記事に使用される事は意図してなかった動画と思うけど、お借りしました。
この曲は、今聞いても本当に素晴らしくて、その後、ラテンピアノと長く付き合う事になった自分の環境では、今でも宝みたいな音。
参加ミュージシャン。
Acoustic Guitar, Electric Guitar – ラリー・コリエル
Drums – レニー・ホワイト
Electric Bass – ウィル・リー
Electric Piano [Fender Rhodes] – ホルヘ・ダルト
Electric Piano [Yamaha Electric Grand] – ジェレミー・ウォール
Percussion – ロジャー・スキーテロ
Written-By – スメタナ
Arranged By, Adapted By – ジェレミー・ウォール discogsより
87年に癌により39歳の若さ亡くなったホルヘ・ダルトのローズの音が聞ける貴重な録音にも思う。彼は、ジョージ・ベンソンの超名曲のブリージンでもキーボードを担当していたそうで。
そして、このFuse Oneのアルバムには、もう一人ジョン・マクラフリンと言うギターの超絶神が参加している。マクラフリンとラリー・コリエルはよく一緒にプレイはしていたけど、このアルバムの中で一番有名だと言われているDouble Stealと言う曲では、コリエルとマクラフリンの両名のギターが聞く事が出来る。
当時、カセットテープやオーディオ機器のCMにはフュージョンの曲がガシガシ使われていてオシャレだったとよく聞いていたけど、この曲もTDKのカセットテープのCMソングとして日本では人気の曲だったそうで。
Bass – ウィル・リー
Drums – レオン・チャンクラー
Electric Guitar – ジョン・マクラフリン, ラリー・コリエル
Electric Piano [Fender Rhodes], Synthesizer – ロニー・フォスター
Percussion – ポリーニョ・デコスタ
Piano, Synthesizer – ジェレミー・ウォール
Tenor Saxophone – ジョー・ファレル
Written-By – ジェレミー・ウォール discogsより
ウォーターサイドに比べると、スーパーギターリストが二人もセッションに入ってるのに、ギターどこ?と言う曲だけど。
また先に紹介した曲の両方のベースがウィル・リーだけど、実はスタンリー・クラークもベースをやってる曲が数曲ある。このアルバムの最後を締めくくる曲は、どこから聞いてもスタンリーの曲と言う感じで、そこにラリー・コリエルのギターが絡んで来る素晴らしいブルースベースの曲。
しかし、この動画のコンプリート版のアレンジが自分が持ってるオリジナルとは少し違っていて、このタクシー・ブルースももっとオリジナルでは重厚な音。このコンプリートを発売するにあたってミキサーをいじくった感がある。
Bass [Tenor] – スタンリー・クラーク
Drums – レニー・ホワイト
Electric Guitar – ラリー・コリエル
Harmonica – ヒュー・マクラッケン
Percussion – ロジャー・スキーテロ
Written-By – スタンリー・クラーク discogsより
リズム・ギターを得意にしていたヒュー・マクラッケンがハーモニカで参加。彼も2013年に白血病で亡くなっている。
そして、このタクシー・ブルースの音源探していたら、80年のライブ・アンダー・ザ・スカイのライブ音源をあげてくれてる人が居た。この音源は、この日出演していた4バンド全員が参加したJAM'80と言うセッションライブのもの。
https://youtu.be/UDwThD0psGw
音は、録音うんぬんと言う以前、てんでに奔放にやってる...と言う感じに自分には聞こえてしまうんだけど、この日、ラリー・コリエルは、ジョン・マクラフリン、フランスのギターリストのクリスチャン・エスクードの3人のトリオでライブを組んでいた。
それで思い出したのは、パコ・デ・ルシアがラリー・コリエルとジョン・マクラフリンとやったセッション。
https://youtu.be/jlRZd3zdWTA
パコも既に2014年に亡くなってて、実はパコの方がマクラフリンやコリエルより年下であった事が驚き。パコのギターが次元違うし...と言うか、一緒にセッションしてるとは言え、ギターと一言で言えどもそれぞれ得意分野も違うと思うし、彼らを同じテーブルで語るのは難しいと思われるだけに、(それに自分は鍵盤の方だし)、自分の言葉では単純に「スゴイ」としか言えないんだけど...w 最初にピック使ってプレイしてる人が(メガネを掛けているから)多分、ラリー・コリエル。
アル・ディ・メオラもマクラフリンとパコと一緒にやっていたと思うけど、パコと一緒にセッション出来る人と言うのは、超絶な技術を持ってる人ばかりと言うイメージがある。
そして、自分の持ってるもう一つのラリー・コリエルの音源は、先日、自分が書いたジャコ・パスの記事に強引に割り込ませてしまったオーレックス・ジャズ・フェスティバルのもの。
今はこのアルバムの入手が難しいのかわからないけど、自分はこのCDを持っていて、先日もその写真を貼ったりしてた。
このアルバムの貴重なライブ映像をYouTubeにあげてくれる人が居て(感謝)、オープニングの映像では、ラリー・コリエルの紹介のテロップが流れたり、リチャード・ティーのローズの音をバックに弾きまくってくれるコリエルの姿を見る事が出来る。エリック・ゲイルの渋いギターと2台体制でカッコイイ。
https://youtu.be/yXbOVHWnZx0
最初に紹介したFuse Oneのアルバムでもレオン・チャンクラーがドラムを叩いてる曲も多くて、このライブでもFuse Oneの曲をやっている。チャンクラーのドラムが堪能したい人は次の動画をどうぞ。
https://youtu.be/4v7nLkET7Zo
自分が知ってるラリー・コリエルの音はこれくらいしか無いんだけど、それでも、この数曲だけでもコリエルはかなり強烈な印象を残してくれた感じで、忘れられないギターリストでもあった。
古い名演を発掘するのに忙しくて、最近の彼がどんな活動していたのかは、殆ど知らなかったけど、これを機に彼の音楽を勉強してみようと思う。
最後に再びスンタリーとのセッションの動画を貼っておきます(すみません、スタンリーの大ファンなんで)キーボードは、当時、スンタリーと一緒にやってたジョージ・デューク。
一曲だけ抜き出してしまったけど(スタンリーの名曲のSchool days)、それ以外にも見どころ満載の1時間30分にも渡るLiveで、ジョージ・ベンソン、ラリー・コリエル、ジョン・マクラフリン、パコ・デ・ルシアと言うスーパーギターリストが演ってます。動画主さんは、今では非常に貴重な動画と書いてるけど、その他のミュージシャンは、YouTubeの本ページに書かれてます。